宗玄 しぼりたて 純米生原酒

本日頂戴したお酒です。前回鎌倉高崎屋さんで購入してきたモノです。毎度のコトながら、なんとかの一つ覚えでガツンと来るヤツ下さい。と言って勧めて戴いたものです。

ただ、飲み口は殊の外優しく、とても「ガツン」という感じではありません。仄かな甘みがあり、後味も大変爽やかです。香りは強くはありません。しかし、そこは原酒!アルコール度数は18度もあり、ガツンではないが大変「しっかり」したお酒ということです。

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澤乃井 立春朝搾り - 実飲

 

連休の中日、注文していたお酒を受け取りにいそいそと鎌倉に出かけた。普段お世話になっている鎌倉在住氏への手土産にと注文は2本に増やしてあった。ただ、件の鎌倉氏は最近日本酒を召し上がらないことが事前に分かり、美鈴の今月のお菓子を念のために別途購入して向かうこととした。

大変良い日和ということもあり、人出も凄かった。そこかしこで渋滞に見舞われ、いつもならば午後横浜の自宅を出れば「スイスイ」と着いてしまう距離が遠かった。鎌倉霊園手前あたりからは正に亀の如き歩みで数多く鎌倉に足を運ぶ私でも余り経験がないものだった。従って午後にお邪魔しますと言っておきながら、鎌倉氏のお宅に着いたのは3時を回ってからであった。結局無駄になるからとお酒は持ち帰ることとなり、2本手元に残ることになる。

こちらがそのお酒。

 

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少し、本格的に利き猪口を仕入れねばいけないな、と感じつつ、今回は錫でできた冷酒用の猪口で戴いた。従って色は正確に伝えられない。大分黄色味を帯びていると感じた。香りは花の咲いた様な香りだった。リンゴの様な香りはするが、フルーティとは少し違うと思う。味は芳醇。雑味は殆ど感じられず、時間が経つと上品な甘さが口腔に広がる。「日本酒くささ(因みに私は嫌いではない)」が全くなく、カミさんには大変好評で、未だ嘗てなかった程の褒めようであった。カミさんが日本酒を飲み、「美味しい」を連発したのを聞いた記憶は他に無い。

スキップ - 北村薫

時系列で北村作品を追いかけている。本日読了したのが「スキップ」。文庫にしてずっしりと重い、即ち長編である。

ところで、皆さんは裏表紙にある「あらすじ」のごとき書きつけや、巻末の解説を事前にお読みになるのだろうか。私は可能な限りそれらを避ける。時に読んでおいた方が良かったな、、と思う作品もないわけではない。ただ、私には興ざめとなることの方が多かろうということで避けて通る。

読み始めた。

本格ミステリー、推理小説を当たり前の様に想像しているから、出だしの展開に青春小説なのか知らんと少々戸惑いつつも、当たり前の展開が起こるのを期待しつつ読み進める。。するとあろうことかSF的展開にとなり、一ノ瀬真理子さんは時空を飛び越えてしまう、タイムマシンに乗って、、、の方がどれだけ気楽だったことか。しかし、北村氏はそのような安穏とした読み方をさせてくれない。ま、そこが好きなのだが。

余りの仕打ち?に思わず主人公に肩入れしてしまう。そして、とてもやり切れない哀しい気持ちに包まれてしまう。自分だったら到底耐えられないかも知れない、と思う。それは自分が「心の若さ」を失っているのだということを知り一段とやりきれない気分になる。

主人公(桜木)真理子は外見のおばさんとはかけ離れて17歳の心のままだ。たとえようもなく純粋だ。いささか滑稽な設定に思われる箇所も少なくない。でも、真理子の純粋さがとてもいじらしく、ゆえにおかれた状況の厳しさが心に刺さる。学校という舞台設定も良かったと思う。

一つのシーンを思い出してみる。

心は17歳、外見は42歳。そんな真理子が18歳になったばかりの優等生の新田君に告白され、震えんばかりの喜びを感じる。そしてフォークダンス。はて、、、、やはりこれはちょっと恥ずかしくなるくらいの「青春小説」なのではないのか知らん。

もう一つ、一ノ瀬真理子にとっては見ず知らず、でも将来の旦那である桜木氏が吐露した真摯な気持ち。肉体は老いても、心は老いることはないと信じていたのだが、そうではなかった。という言葉。ズシリと心に刺さった。痛かった。

北村氏の色彩の紡ぎだし方を絶賛する向きは多い。勿論私にも異論はない。この小説でも随所に鮮やかな色彩を咲かせている。でも、今回長編ということもあってか、比較的多くの登場人物が描かれている。そのどの人物もとても一所懸命で素敵なんだ。

なんだか真剣勝負のスポーツの試合を観た後の様な爽快感が残った。

ものがたり - 北村薫

ここのところ、時系列的に北村薫を追いかけている。間に佐伯泰英の居眠り磐音 江戸双紙を挟みながら。

今日は丁度文春文庫から出ている短編集「水に眠る」を帰宅途中の電車で読み終えた。

ご承知の通り推理小説家の手による作品集なのだけれど、一般的に言う謎解きの小説が詰まったものではない。どちらかというと謎を孕んだ「想い」を詰まらせたままに読者を放置する小説集だ。

どの作品もとても切ないものなのだが、私が気に入ったのは「ものがたり」という作品。ある種の「凄味」を感じさせる作品で、受験生の女子高生が語る「ものがたり」の押し殺した激情を隠し切れない艶っぽさと言ったら発禁ものである。

かくして主人公である大人の男も高校生の世代の「女性」に振り回されるのである。

澤乃井 立春朝搾り

年を重ねるごとに酒量は減る。酒が弱くなると余人は言うが、自分の場合はちょっと違うのかなとここ数年思っている。勿論、体力は落ち、内臓も例外ならず老化が進んでいることは確かな筈だから酒が強くなったとは思ってはいない。

相変わらずいの一番に口にしたい酒はビールである。ただ、少し以前(いつ頃かまでは記憶が定かではない)までは、ビールを延々と飲んでも飽きることはなかったのだが、今は飽きる。

先日、日本酒しか置かない「つくしの子」という酒屋に久しぶりに行ったが、「取り敢えずビール」でなくてもなんら不足に感じないのだ。そして、日本酒が「本当に」体質に合った酒なのだと感じる機会が年々多くなるのが不思議だ。それはそれはとても美味しく戴けるし、心底美味しいと思いながら吞むので翌朝の具合も殊の外よい。元々二日酔いには余り悩まされない方なのだが、普通の方が「日本酒は残るから、、、」と良く言われるのと真逆である。

日本酒の国内消費量は残念なことに減少の一途なのだとか、ただ日本酒好きには好都合な部分もあって、作り手がなんとかこの状況を打破しようとより一層工夫を重ね、より真剣に酒造りに没頭しているようなのだ。だから年末帰省の際、鎌倉は御成通りにある「高崎屋本店」にて入手した3種類のお酒(冬の月・佐藤卯兵衛 寒おろし・封印酒 大山)ともそれはそれは美味なる日本酒であった。

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その際頂戴していたチラシを昨晩改めて手に取った。「澤乃井 立春朝搾り」予約受付の案内であった。これも何かの縁と自分に都合の良い解釈をして、夜中前に予約ファックスを件の高崎屋本店に入れた。発売日は2月4日。生憎月曜なので、その次の週末に受け取りに行くことになるだろう。なんやかやと理由をつけて鎌倉に足を運ぶ私にとっては全くの好都合、正に一石二鳥であるな。