グレイ・サーガ

灰色の物語。実にレアなアイスランドの作家によるミステリ。「湿地」を読み終えた。タイトルもそうだが、行ったことのないアイスランドの特徴的らしい雨が降りやすく、日が落ちるのが早い季節の気候のせいで、全般的に薄暗い心象の中物語は進んで行く。結末は遣る瀬無く寂しいものだが、とても心に残る作品である。

アールデュル・インドリダソン 出会ったかな感満載の作家さんである。もう少し砕けた物言いをすれば、どストライクだ。

ひとつ難があるとすれば、訳の会話部分だ。ときどき登場人物の個性を見失って、時間をロスする。それでもアイスランド語で書かれた小説(実際はスウェーデン語訳)を日本語で読めることの有り難さは代え難い。